とある暮らしご紹介 | mizōchi


はじめに

この本に登場するのは、世間的には名の知られていない方々です。

みなさんには、なにか特別な共通点があるわけではなく、特殊な経歴や肩書があるわけでもありません。

しかし世の中は(筆者自身も含めて)そういう方々が大半ですし、そういう一人ひとりによって世の中は回っているのではないかと考えています。

本書はそうした「日々をふつうに生活している」、10代から90代の男女50名の声を集めたインタビュー本です。

一人ひとりが、それぞれの暮らしの中で思うこと、感じることについて、語っていただきました。


もう少し詳しく知りたい(◀タップ)

mizōchiというブランドを始めた当初より、自分の思う豊かさを形にしたオリジナルプロダクトを作りたいと考え、この「とある暮らし」を制作しました。

そもそも自分の思う豊かさとはなんだろう?
そんな問いの中で浮かんだ一つが、「個人」でした。

普段の暮らしの中で、みんなどんなことを考えているのだろう。なにに喜びを感じたり、悲しみを感じているのだろう。自分自身、昔から他者の話に興味があったことも「個人」について考える要因の一つだったのかもしれません。

そうした気持ちが呼び寄せるのか、あるいは時代の流れか、最近は個人に目を向けた本がどんどん増えている印象があります(あるいは昔からあったものが再考されているのかもしれません)。

さまざまな人の生き方や考え方、働き方に関する本など。

それはそれでおもしろいのですが、自分が知りたい個人というのは、たとえば、隣で読書している人、駅のホームで並んでいる人、何気なくすれ違っていくたくさんの人たち。そういう「日々をふつうに生活している方々」でした。そうした一人ひとりにスポットを当てることが、自分の思う豊かさにつながると感じました。

著名人であったり、なにか特別な経歴や仕事を有する人たちをまとめた語り口ではなく、個人その人が、今どんなことを考えているかで語られること、そこから浮かび上がってくるもの、そういう視点から見つめた本が読みたい。

そんな思いからこの本を作りました。

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2019年春から2021年春までの約2年間、現在拠点にしている福井県にて街を巡り、またSNSを活用し、10代から90代の男女50名の方々とお会いし、一人ひとりが日々の暮らしの中で思うことや感じていることをインタビューし、一冊にまとめました。


概要

とある暮らし

2021年3月・刊
定価:2,300円+税
本文:514ページ
発行・mizōchi
著者・miyono
並製本 / 四六判


本書についてのより詳しいご案内

○表紙

手になじみ、ふれていて「気分の良くなる」質感の用紙を採用しています。光沢を抑えているため見た目も落ち着きがあり、眺めても気分の良い仕上がりになっています。また、空押し加工(凹み)を施し、アルバムのフレームのようにどこかの暮らしをご想像いただけるような風合いにしました。

○本文

本書はおよそ514ページのボリュームがあります。読みやすさを追求するために、重量を感じさせない、軽くて柔らかな用紙を採用しています。

また、糸綴じと呼ばれる製本方法を用いることで、ページ数が多くて本が開きにくくなるという問題を解消しています。

○書体

本文にはUD書体を採用しています。UD(ユニバーサルデザイン)とは、「できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザイン」を基本コンセプトとし、人が生活する上で「使いやすさ、見やすさ」といった細かい部分にも配慮・工夫をしたデザインをさします。高齢者の方や、弱視の方、また普段文字の読み書きに困難の伴う方も、UD書体ならば識字率が向上するケースがあるそうです。可読性を高め、一人でも多くの方にお楽しみいただけるように、採用しました。

○構成について

一般的に、インタビュー形式の書籍はインタビュアーのセリフは「――(ダッシュ)」を使用します。本書では基本的に「」(カッコ)を用い、小説に近い構成を採用しています。普段、ビジネス書や実用書は読まないけれど、文芸書なら読むという方にもおすすめです。

○二段組

文字数の観点から本書は二段組(文章が上下に組まれている)を採用しています。その分、文字のサイズを比較的ゆったりとした大きさにしました。